安倍晋三の最大遺物

最も厳格であるべき憲法に、法的規範になりえない文句を挿入することは、言義や文字の正確さに対する不信の表われであろうか。

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しかも、そのように言義や文字が、大きな幅をもって色々に解釈されることは、必然的に、制度の濫用を生む。

いわゆる悪い憲法が歴史の上に存在していないのに、悪い政治がいたるところで横行しているのは、その証左である。

神義子 『逆転の哲学 呪咀』 本章 七 より

安倍晋三元首相の最大の功績は、なにだろうか。

それは、この国の崩壊を取り戻しようもなく、加速させたことかもしれない。

もちろん

なにの成果もあがっていないアベノミクスもある。いや株価だけはあがっているが、実質賃金の低下は目をおおうばかりである。ちなみに、安倍晋三は実質賃金をちょうど10年前に150万上げると約束していたが、その件は何事もなかったかのようである。

森友問題や加計学園問題にみる、お友達の優遇と虚偽答弁の問題もある。

「日本を取り戻す」「この道しかない」といい、結局なにを取り戻したのかがわからない。自民党として政権はとりもどしたのかもしれないが。そして、不都合はすべて野党のせいにする呪い、を使いこなしていたこともある。

総じて問題ではある。
どの問題も著述家の菅野完がいうように、「内閣が2つくらい吹っ飛ぶ」問題であった。
しかし、をすべて権力を使って、逃げおおせた。
さすがに、コロナは忖度してくれず、辞任することになったが。

つまり、安倍晋三の一番の功績は、上記の問題をすべて権力を使ってやり抜けてしまったことである。

「だれがやってもなんとかなる」ように設計された制度が、壊れてしまったことである。
結果として、だめな人がやると、だめになる制度に変身させられてしまったことにある。

そもそも制度は、韓非子の偉大な発明であった。

支配者の権力は、元来、なにものにも屈しない。他方なにものをも屈服させずにおかないのが体制である。

これは「矛盾」であるが、この矛盾というのが、実は、韓非子の造語であった。

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体制は一旦作り上げられると、それ自体が魔物のように勝手に動き出す。

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また、長い歴史の間には、全く支配能力に欠けた支配者が出る。

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つまり、バカな皇帝でも政治が出来るようにと、韓非子は、その願いを体制の中にこめたのである。

体制はすでに、その善悪を問う政治哲学の問題ではなくなった。それは最早、いかなる現実処理を指向するかの政治学の問題である。

神義子 『逆転の哲学 呪咀』 本章 四 より 太字引用者

ところが、かの安倍晋三はそれをことごとくねじ伏せ、我が意を通してしまった。

その結果として、いまや後続の菅、岸田にいたるまで、制度の枠を超えた振る舞いを当たり前のようにしている。

3s政策で愚民化している日本は、なお制度に支えられていたが、それをたったの10年で木端微塵に破壊してくれた。

おかげで、日本の没落の速度は、より急加速で進んでいる。

歴史的にみると

日本の歴史的にみれば、陽が陰に転じる時期であるので、さっそと陰に向かった方が陰陽の波としては動きがあるだろう。皮肉ではあるが。

だがしかし、この強引な制度破壊は、一般の人々の間に「呪咀」を生むだろう。

その「呪咀」は、これまでの3s政策では抑えきれず、またスケープゴートによっても抑えきれないだろう。
なぜなら、物理的なひっ迫が現に起こっているから。

そして、いつか呪咀が爆発する日が来ざるをえない。
いやすでに小さな爆発はあちこちで起きている。

その一つが安倍元首相の襲撃事件だったのかもしれない。

君たちはどう生きるか?

安倍晋三の最大遺物を受けた私たちがいる。

そんな呪咀の時代に、どう生きるか?

このサイトがそれを考えるための、一助となれば幸いである。

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