辞書による洗脳の危険

一般的に言って、絶対に辞書を手にしない人は、怠慢の罪を犯しております。

しかし、あまり安易に字引きを使う人は、逆に、洗脳の危険にさらされます。

神義子 『逆転の哲学 呪咀』 序章 壱 より

私たちは、小学校のころから「わからない言葉があったら辞書を引きなさい」と教えられます。

そうやって辞書を使うことで、新しい言葉を知り、使えるようになっていきます。

言葉を使えるということは、その言葉が指し示す事物を、わが物(知識として知っている)とすることです。

しかしならが、ここに罠があります。

大きく2つの罠があります。

一つ目は、「知ってる」の罠

二つ目は、辞書の罠

です。

「知ってる」の罠

言葉を知っていれば、その事物が説明できます。

その事物を説明できるということは、その事物が分かっているということです。
事物が分かるので、意のままに分解できます。

そして、ここに罠があります。

例えば、ここにケーキがあります。

料理本を読めば、あなたはケーキがなにでできているか、知っています。
ケーキの作り方も知っています。

「さあ、これであなたはケーキについては、いっぱしの学者です。
ケーキについて知ってるから、ケーキ食べなくていいですね。」

と、もしも言われたらどう思いますか。

「は、なに言ってんの」「おれにもケーキ食わせろよ!」「私もケーキが食べたいな」と思うでしょう。

日本にもわかりやすいことわざがありますね。花より団子。絵に描いた餅。

哲学の罠

そして、この「絵に描いた餅」の究極が、哲学の罠です。
「知ってる」の罠の極致は、哲学の罠なのです。

ケーキは料理人が扱います。家庭の主婦や主夫や子供たちが作ったり食べたりします。

料理本が扱う対象の中にケーキがあります。
では、哲学が扱う対象はなにでしょうか。

哲学の重大テーマは世界、神、私です。
ちなみに、私の中に意識、魂、心などなども含めてます。

この重大テーマを哲学で扱うことの危険性、罠にお気づきでしょうか。

哲学を学んだ人は「世界」のことがわかります。「神」のことがわかります。「私」のことがわかります。

どこでわかるかというと、頭でわかります。

ここが哲学の罠なのです。

「世界」「神」「私」を頭でわかっても・・・・
心は空っぽ、身体はイスにすわったまま。

感動してますか?体験してますか?
頭でわかっただけで、なにも体験してないでしょ。感動もしてないでしょ。

こんな頭だけの哲学が大手を振るいそうになる状況を、太公望は二人の賢者を処刑して呪い返しました。韓非子と始皇帝は「焚書坑儒」を行いました。

しかしながら、現代は学者が知識人として、大手を振るってしまってます。
テレビに出るコメンテーター学者の多くが軽薄なのは、感動と体験が欠落しているからです。

ヴィトゲンシュタインの哲学

おまけで、ヴィトゲンシュタインの話をします。ヴィトゲンシュタインの哲学は本物の哲学です。

彼は神について考え、悩み、学び、体験しました。愛読書はトルストイの要約福音書です。戦場で神秘的な感情も体験してます。

さて、そんな彼が語る神を、日本のヴィトゲンシュタイン研究者が論じています。

「論じてます」 ←ここ大事です

「あーでもない、こーでもないと、ただただ論じてます」 ←大事なので繰り返します

そんな日本のヴィトゲンシュタイン研究者の多くへ送る言葉があります。(全員ではないです。本物もいるため。)

送る言葉

ケーキの解説書の作成ごくろうさまです。

ところで、あなたたちは、いつ自分のケーキを作るのかしら。というか、ヴィトゲンシュタインのレシピのケーキさえ作ったことあるのかしら。

要約福音書読んでるのかしら。弟子であるあなたがたは、師匠の少なくとも10倍は読む必要あると思いますわよ。

「わかっただけでいい気になるなよ」という太公望の言葉が聞こえてきそうですね。

辞書の罠

言語学は哲学者ほどではありませんが、同じ学者なので、その呪いに囚われてます。その呪いに囚われた言語学者が作ったものが、辞書なわけです。

だから、辞書にも罠があります。

どうぞお気を付けください。

辞書に書かれている言葉の定義は、本当に本当に、その事物を表してますか。
定義がわかれば、事物がわかると思ってませんか。
そもそも、その定義は辞書を書いた学者さんの定義ですよ。

辞書の定義を使い続けることは、辞書の定義に洗脳されるということです。
つまりは、学者さんに洗脳されることになります。

辞書は便利だけど、学者さんの思考の土台に洗脳されます。

ということで、最後はRADWIMPSの言葉で締めます。

辞書にある言葉で出来上がった世界を憎んだ

・・・

言葉がどれだけ手を伸ばそうと届かない場所で僕ら遊ぼうか

『SPARKLE RADWIMPS 作詞作曲:野田洋次郎 より 

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